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スッポンは口から“排尿”する [川、池の生物]

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中国に生息するスッポンは、水たまりに入って口から尿素を排出すると判明した。世界で初めて口からの排尿が確認された動物という。

シンガポール国立大学のチームは、スッポン(学名:Pelodiscus sinensis)が水たまりに頭を突っ込み、舌を動かす際、水を飲んでいない事実に気付いた。

◆スッポンの尿を追跡

 ユエン・K・イプ(Yuen K. Ip)氏が率いるチームは地元の市場で生きたスッポンを複数購入し、水槽の中で6日間飼育。排尿などに使用する総排出腔から出た尿を分析すると、体内で生成された尿素(動物の尿に水の次に多く含まれる物質)が6%しか含まれていなかった。

 スッポンを水から出し、代わりに水たまりを用意すると、頭を入れて口をすすいだ。その水を分析した結果、総排出腔の50倍以上の尿素を吐き出していると判明した。なお、尿素は血流によって口まで運ばれており、厳密には排尿とは言えない。

 研究チームはさらに、尿素の排出を助けるタンパク質を生成する遺伝子を発見。この遺伝子は腎臓ではなく口で発現した。

 汽水に暮らすスッポンにとって、口からの排尿は賢明な適応と言える。通常の方法で排尿する場合、大量の水分も排出される。体内の水分を適度に保つには、水を補給しなければならない。

「塩水を飲めば悪循環に陥る」とイプ氏は説明する。スッポンは塩分を尿と一緒に排出できないため、血中の濃度を下げるには塩水を飲むしかない。しかし、やがて塩分が致死量に達してしまう。

 塩水を飲まず口をすすぐだけにすれば、スッポンは健康を維持できる。「腎臓ではなく口から尿素を排出する能力のおかげで、汽水や海水に適応できたのかもしれない」とイプ氏は推測している。

◆医学に応用できる可能性も

 イプ氏の研究では、動物の世界から学んだ成果を生物医学的な問題の解決に生かすこともテーマだ。

 つまり、口から排尿するスッポンが、腎不全の治療につながる可能性があるという。現在、腎不全の患者は透析を受け、血流から老廃物を取り除かなければならない。

「あくまで仮説だが、能動的に尿素を排出する仕組みを腎不全の患者の口内で再現できれば、スッポンのように水で口をすすぐだけで、尿素の排出機能を取り戻せるかもしれない」とイプ氏は語る。ただし、現在は単なるアイデアの段階にすぎないという。

 研究の詳細は「Journal of Experimental Biology」誌の11月1日号に掲載されている。





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タグ:スッポン
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