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最古の霊長類はネズミ大で樹上性 [動物]

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現在知られる範囲で世界最古の霊長類は、“上昇志向”を持っていたらしい。ネズミほどの大きさで、約6500万年前に存在したプルガトリウス(Purgatorius)については、過去数十年間わずかな歯と顎の断片しか手がかりがなかった。しかし、このほど古生物学チームがこの生物種の足関節(足首)の骨を特定した。その関節の可動域の広さは、プルガトリウスがすばしっこく木登りに長けていたことを示唆している。


「足関節の骨のみだが、これらはプルガトリウスのものだと強く確信している」。イェール大学の古生物学者スティーブン・チェスター(Stephen Chester)氏はアメリカ、ノースカロライナ州ローリーで先週開かれた古脊椎動物学会の会合においてこのように語った。「これは、この霊長類が主に樹上生活を送っていたことを示す初めての直接的な証拠だ」。

 プルガトリウスが生きたのは、恐竜が絶滅した次の時代に当たる暁新世の初期だ。そのころ、植物は果実をつけ始めた。最初期の霊長類が木に登っていたという新事実は、霊長類と花を咲かせる被子植物とが互いを利する形で共に進化したとする説を裏付けるものだとチェスター氏は言う。「植物は種子を拡散するために、霊長類にとって魅力的なものを実らせ始めた。それと時を同じくして、霊長類は樹上生活により特化し始め、木の枝にのぼって果実を採取できるようになった」。

 当時、哺乳類の多くは地上生活をしていたため、木登りの能力はこの生物種にとって食物資源をめぐる競争上の強みになっただろうとチェスター氏は述べる。「おそらくこれら初期霊長類の進化的成功に寄与したと思われる」。

◆封印された過去を開く

 今回特定された足関節の骨は、カリフォルニア州バークレーにあるカリフォルニア大学古生物学博物館のウィリアム・クレメンス(William Clemens)氏が、過去40年間にわたってモンタナ州北東部で採取した多くの化石の中にあった。しかし、同州のパーガトリー・ヒル(Purgatory Hill)という場所から見つかったプルガトリウスの化石は、これと比較できる化石記録が乏しかったため、以前なら特定することは不可能だったとチェスター氏は言う。

「以前は、これら初期霊長類のことがあまりわかっていなかった。歯があったことはわかっても、そこまでが限度だった」と話すチェスター氏によると、共同研究者でフロリダ自然史博物館の古生物学者ジョナサン・ブロック(Jonathan Bloch)氏の仕事が足関節の骨を特定するカギになったという。

 ブロック氏は、周囲を覆う石灰岩をギ酸を使って溶かすという丹念な作業によって、他の多くの初期霊長類の化石骨格を取り出すことに成功してきた。「ブロック氏が取り出した信じられないほど完全な骨格が、これまでなかったロゼッタストーンのような役割を果たしている」とチェスター氏は言う。「今では一部分のみの骨を集めたものの中から、初期霊長類の骨をはっきりと特定できるようになった」。

 探すべきものが明確になった今、研究チームは引き続きこれまでに見つかっている化石の中からプルガトリウスの他の骨を特定し、この生物の姿勢や動作について手がかりを得たい考えだ。

 カリフォルニア大学バークレー校のクレメンス氏は、この足関節の骨を「驚くべき発見」と評し、この骨が見つかった化石発掘現場から哺乳類時代の黎明期についてのさらなる手がかりが見つかることを期待している。「霊長類の起源に加えて、(暁新世の前に起こった)大量絶滅の原因に関する他の重大な謎を解明するため、引き続きモンタナ州で調査を行う計画だ」。




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